RING-L-3:次元0の整域はとても単純 次元0の整域

2023/11/20 次元0の整域への話を追加しました!

こんにちは!ケンけんです。今回は、Artin整域は体であることを書いてきます。

そしてそこから話を広げて次元0の整域を考えます。

キーワード:Krull次元・整域

必要知識:Artin環の性質

動機

Artin環では、いくつか同値条件があります。

任意のイデアルの降鎖列$l:(I_{1} \supset I_{2} \supset \cdots )$について

$$lが停留的(\exists n >0(I_{n}=I_{n+1}= \cdots))$$

であることが一般的でしょう。この条件は、降鎖条件と呼ばれます。Noether環の場合は、逆に昇鎖条件(部分集合の向きが逆)を満たします。

逆の包含条件を持つArtin環とNoether環の間には次の定理が成り立っています。

定理

$RはArtin環 \Leftrightarrow$

$$(RはNoether環) \wedge (\mathrm{dim}R=0)$$

この定理で、Artin環はNoether環より厳しい条件が必要だとわかります。

今回注目するのは、Krull次元が$0$であることです。

整域は、零イデアル$(0_{R})$も素イデアルになります。従って、次元を定義する素イデアルの高さが、1以上になります。Artin環であり整域となる場合どのような特徴があるのかと思ったわけです。

背景にある性質とArtin整域

まず、Artin環$R$のイデアル$\mathfrak{p}$には次のことが成り立ちます。

  • $\mathfrak{p}$:素イデアル $\Leftrightarrow$ $\mathfrak{p}$:極大イデアル

素イデアル$\mathfrak{p}$の鎖$$C_{\mathfrak{p}}:\mathfrak{p} \varsubsetneq \mathfrak{p}_{1} \varsubsetneq \ldots \varsubsetneq \mathfrak{p}_{n}$$の長さ$l(C_{\mathfrak{p}} )=n$により高さが定義されます。

$$\mathrm{ht} \mathfrak{p} =\mathrm{sup} \{n \in \mathbb{Z}|n=l(C_{\mathfrak{p}} )\}$$

全ての素イデアルが極大なので当然高さは$0$となります。

次に、Krull次元$$\mathrm{dim} R = \mathrm{sup} \{\mathrm{ht} \mathfrak{p}| \mathfrak{p} \in \mathrm{Spec} R\}$$を考えます。このとき、すべての素イデアルの高さは$0$なので$\mathrm{dim}R=0$です。

これが、先の定理で$\mathrm{dim}R=0$となっていた理由です。

$R$が整域の場合$R$の零イデアル$(0_{R})$も素イデアルになります。なぜならば、すべての非零元が零因子にならず、素イデアルの定義を満たすからです。

零イデアル$(0_{R})$は任意のイデアルに含まれます。従って、他の素イデアルに含まれるはずです。

しかし、$$(0_{R}) \in \mathrm{Spec}R = \mathrm{Max}R$$であることが、Artin環の性質から次のことがわかります。

($\mathrm{Max}R$は$R$の極大イデアル全体の集合です。ほかに$m$-$\mathrm{Spec}R$とも書きます。)

これは、非零なイデアル$I$が$(1_{R})=R$であることを意味します。

命題

$R$;単位的可換環 $\mathfrak{m}$;$R$の極大イデアル

$x \in R \backslash \mathfrak{m} s.t. \mathfrak{m} + (x)=(1_{R})$

(証明は極大性から明らか)

今、$(0_{R}) + (x)=(1_{R})$より$x \in R^{\times}$です。($R^{\times}$は単元全体の集合)これは体の定義でした。

定義

$R$;単位的可換環

$Rは体 \iff R \backslash \{0_{R}\} = R^{\times}$

以上から、Artin整域は体であることがわかりました。

次元0の整域 (2023/11/20 追加)

さて、上では込み入った命題などを使った証明をしていますが実はArtin性を外して次元0の整域を考えるだけでも同様のことが言えます。

次の2つを再確認します。

  • 整域$R$では、零イデアル$(0_{R})$が素イデアル
  • Krull次元は、素イデアルの鎖の長さの「上限

そして、次元$0$の条件から零イデアルに対して鎖の長さは$0$となっています。従って、非自明な素イデアル$\mathfrak{p}$が存在せず$\mathrm{Spec}R=\{(0_{R})\}$となります。

極大イデアルは素イデアルなので、$(0_{R})$以外にあり得ず$R$ではないイデアルはすべて$(0_{R})$に包含されます。

ここから、$R$のイデアルは自明なイデアル$(0_{R}),(1_{R})$のみです。これは、「$R$が体」であることの同値命題です。

以上から、次元0の整域でも同様の結論が得られるわけです。

おわりに

Krull次元の差から気になり調べた結果、当たり前のような話だったので残念です。ただ、イデアルの基本性質を使う練習なりました。

また、必要な情報「次元0」、「整域」からさらに条件を下げることができました。

以上、ケンけんでした。

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