RING-L-15:イデアルのべきの言いかえ イデアル商

イデアル商 3回目です。

こんにちは!ケンけんです。

今回は、以前のとある命題を見出すまでにイデアル商やAnnihilatorの性質を見つけてきたので紹介していきます。

それでいってみよう!

キーワード:イデアル商

この記事では、環はすべて単位的可換環とします。

今回の課題

今回の課題はこの命題です。(MOD-l-14 命題2

課題

$R$を環とし, $\mathfrak{m} \in \mathrm{Max}R$を取る.

このとき, 各$n \in \mathbb{N}$で$\mathfrak{m}=(\mathfrak{m}^{n+1}:\mathfrak{m}^n)$である.

特に, 各$n \in \mathbb{N}$で$\mathfrak{m}^n/\mathfrak{m}^{n+1}$は$R/\mathfrak{m}$線形空間である.

この事実、$\mathfrak{m}$の元かけるといいのだから当たり前そうです。

が、環の場合だと全然そんなことはありません。

準備

まず必要な道具をそろえます。

定理 第2同型定理

$R$を環とし, $M$を$R$加群, $N,P \subset M$を部分加群とする.

このとき, $(N+P)/N \cong P/N \cap P$.

特にイデアル$I,J \subset R$は$R$加群として$(I+J)/I \cong J/I \cap J$.

命題1

$R$を環とし, $M$を$R$加群, $N,P \subset M$を部分加群とする.

(1)$\mathrm{Ann}_{R}((N+P)/N)=(N:_{R}P)$,

(2)$N \cong P \Rightarrow \mathrm{Ann}_{R}N=\mathrm{Ann}_{R}P$.

証明

それでは証明していきます。

任意の$n$について$\mathfrak{m} \subset (\mathfrak{m}^{n+1}: \mathfrak{m}^n)$である.

$\mathfrak{m}$の極大性より, $\mathfrak{m} = (\mathfrak{m}^{n+1}: \mathfrak{m}^n)$である.

次に, $\mathfrak{m}^n/\mathfrak{m}^{n+1}$が$R/\mathfrak{m}$加群であることを示す.

これは, $\mathfrak{m} \subset \mathrm{Ann}_{R}(\mathfrak{m}^n/\mathfrak{m}^{n+1})$を示せば十分である.

$\mathfrak{m}^n/\mathfrak{m}^{n+1}=\mathfrak{m}^n/(\mathfrak{m}^{n+1} \cap \mathfrak{m}^n)$と第2同型定理より,

$\mathfrak{m}^n/\mathfrak{m}^{n+1} \cong (\mathfrak{m}^{n+1}+ \mathfrak{m}^n )/\mathfrak{m}^{n+1}$.

命題1(1)より, $\mathrm{Ann}_{R}((\mathfrak{m}^{n+1}+ \mathfrak{m}^n )/\mathfrak{m}^{n+1})=(\mathfrak{m}^{n+1}:\mathfrak{m}^n)$.

命題1(2)と$\mathfrak{m} = (\mathfrak{m}^{n+1}: \mathfrak{m}^n)$から,

$\mathrm{Ann}_{R}(\mathfrak{m}^n/\mathfrak{m}^{n+1})=\mathfrak{m}$.

以上から, $\mathfrak{m}^n/\mathfrak{m}^{n+1}$は$R/\mathfrak{m}$加群である.

$\square$

ということで、極大イデアルの場合は、安心して$R/\mathfrak{m}$上の線形空間とみなせます。

追加の疑問と課題

実用上、極大イデアルで十分ですがやっぱり素イデアルや一般のイデアルも気になります。

が、反例を見つけられていません。

まず、一般のイデアルでうまくいく例を考えます。

例 PID

$R$をPIDとし, $I=(a) \subset R$をイデアルとする.

このとき, 各$n \in \mathbb{N}$について$I=(I^{n+1}:I^{n})$

これは、生成元$a$が素元の積で一意的にあらわせる(PID$\Rightarrow$ UFDより)ためです。

$\mathbb{Z}$を考えるとイメージしやすいです。

ではUFDはどうかというと、単項イデアルならPIDと同様です。

他には、体上の多項式環$k[X]$なども除法公理から成立します。

(一般の場合は調べようとしたけど工程多すぎて今回はあきらめた。)

おわりに

次数付き環で使うのは極大イデアルの場合がほとんど(次元定理から)なので、一般の場合は特段必要ではありませんが、一応考えてみました。

ただ極大イデアルの場合は、今後安心して線形空間と言えますね。

以上、ケンけんでした。

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