こんにちは。ずっこけ数学徒中の人兼管理人「ケンけん」です。
こういうタイプの記事を書くのは初めてですね。本当は、一番初めの記事は「ブログ始めました」みたいなやつを上げようと思っていましたが結局書かずLatexの記事が初めての記事に。
そんなこんなで大体一年ほど記事を書いてきたわけでそろそろこんなことも書いていいのかな?と思い、書いてみることにしました。こういう経験や思い派十人十色でいくらあっても知りたい人にとっては価値がありますしね。
このブログを始めようと思った理由
始めようと思った理由は後から生えてきたものも含めると3つあります。
1つ目は「自分だけの数学データのようなモノを作って参照できるようにしたい!(あと収入も得たい)」でした。データづくりは特に問題ないですが、()の中身は何とも浅はかですね。学士4年の院進が決まったあたりで、紙やノートの山から解放されるための方法として記事にして書いちゃえばいいとなったわけです。当時は所属していた大学で非正規労働者として働かせていただいていたこともあり、院へ進学し研究者へとなっていく上でも収入元を持つことは大事たと思い始めたことも大きいです。
しかし、本当にやりたいと思える2つ目のきっかけの出来事が院進確定後に起こります。
「教育実習」です。
筆者ケンけん、実は中学校・高等学校の数学科教員免許を取得しています。(初出情報)
教職課程の話はまた別の機会にしますが、これが動機づけとして大きいです。その実習の中の最終週での話です。自分の模擬授業をいくつかのクラスで行うのですが、それ以前と以降で生徒の反応が全然変わったのです。これまで、「中学時代にどうだった」とか「どうやって勉強していた」とか実習生が聞かれるテンプレのようなことばかりだったのが数学一色になったのです。それも「文章題の考え方」と言った先ほどの内容から少し先に進んだ質問から「変数を増やすして式の本数を増やしても連立方程式なのか(高校数1)」・「2元一次方程式と一次関数は何が違うのか」・「図形の体積比や面積比なんてどこで使うのか」と言うった割と突っ込んだ話やあまり触れられない利用先など幅広かったです。(それぞれ生徒の学習進度に合わせた言葉やたとえを即興で出すのは大変でした。)
それを昼休みずっとだったり、放課後の部活動開始ぎりぎりまで聞いてくるのですから大変でした。
おそらく「実習生で目新しい数学科の人」と言う補正が生徒さんに入っていたとはいえ、この差は異常に感じました。特に、授業中の生徒さんの授業への姿勢や苦手意識なども既に把握しているから余計です。そこで、思ったわけです。
子供たちは無気力や興味がないのではなく、そもそも湧き上がる・興味を引き立てられるようなものをわかるように知ったり聞いたり、教えてくれたりする人も環境もないのでは?
最近の子どもは、和を乱さず行儀がいい、しかし何事にも無気力だ・すぐに興味が失せるなどネットの記事で書かれていますが、そもそも経験する場も教えてくれる人も子供たちの環境の中にいないのだから当たり前なのでは?と言う話です。
そしてこれは中学生に限った話ではありません。高校では、中学までの数学とは段違いに難しく、覚えること・解法・考え方など様々な要素が襲い掛かってきます。
大学では数学科へ入っても、高校数学との差で苦しめられます。(数列の極限や線形空間論など)教科書は至るところに横着した省略は行間があり、それを埋めることが半ば常態化、できないのは努力不足、でも聞いても埋め方・見分け方は誰も教えてくれない。(感覚でやっているから教えようがないと言うことなのかもしれません。)
大人になり就職後に思わぬところで大学数学が必要になり、それを学ぶ場所も方法もあまりない。
(大人になってから純粋数学をやり直したいと思う方もいるそうです。)
そうして私は、「数学」への接し方がどの年代に対しても何もかもがあまりに不親切・不誠実だと思ったのです。
これを改善するにはどうすればいいのか、と言うことでずっと考えていたブログを使って知ったり学ぶ場を作れるのではと思ったわけです。(多分これがなかったらなぁなぁになって初めてない。)
そして、自分が慣れ親しんだ大学数学からはじめることにしたのです。
教師でもいいのでは?と思われるでしょうが、はっきり言います。絶対無理です。教えていいことやどう考えても生徒の知的好奇心をそぐだろう教える内容の制限があり、上の中学生の例を改善することは現状職業として許されません。よくある例だと掛け算のひっ算に矛盾する平方根の掛け算です。(これは教職課程で口酸っぱく指導されます。)何よりも、「公務員」なのでそんな一個人の方針から勝手な行動はとってはいけませんしね。
私は実習生と言う立場だったので先のような振る舞いを担当教官からは「積極的にしてくれ。」と言われましたが、教師の方は話したくても話せないでしょう。
講義では、親を通して告げ口されて怒られるケースが紹介されてた、怖い。
(それもあって実習初めはあまり数学の話をしなかった。)
大学数学なら何で集合論から始めたの? 微積・線形代数は?
じゃあ何で集合論から始めたり可換環論なんて基礎ではない分野から記事にしてるの?と言われるでしょう。(可換環論は、私の分野に近いからです。完全にわがままです、はい。)
集合論から始めたのはしっかり理由があり、微積分と線形代数の理解には結局必要だからです。もっと詳しく言うと微積分は位相空間論の知識もないと理論についてはあまり理解できないまま終わってしまいます。
計算するだけなら上2つは別に集合論はいりません。ですが、大学によっては初めから理論の講義をする・集合論は後期に後回しなんてこともあります。そうすると、同値関係や順序関係などをやってもいないのに使ったり無限個の和集合や共通部分を説明なしに使われたりします。そうなるとお手上げです。もちろん暗記できる・やり過ごせる人は良いでしょうが、「なんでそうなるのか」が気になってしまう・理解できるまで先に進めない人には大きな足かせになります。
私は自覚なしの後者側で、学士後半に自分の特性を理解していないため大きく挫折しました。その時の話は別の機会にしますが、復帰するときに編み出したのが「どうして」に対して「納得のいく理由を必ずつける」と言う泥臭いものでした。
「記事一覧」内のほぼすべての記事で、導入と称した動機づけをつけているのはこの考えからです。定義を出されて理解できない・覚えれないならば、復元できるだけの納得のいく理由と動機をつければいいのです。
数学嫌いを生み出す原因の一つに記号まみれであることがありますが、先にすべて日本語を記号で省略しているだけだと言うことを理解すれば、微積分や線型代数での記号への抵抗感も薄れるでしょう。
必要性だけでなく、学ぶための意識(抵抗環)にも非常に影響を与えるために優先したわけです。
また管理人紹介でも書きましたが、「全く数学を知らない人」が読み始められるためには「言葉から記号化」と言う考えの命題論理から始めた方が頭に入りやすいと思ったのも理由としてありますね。
現在は、位相空間論を書き始めていますがこれも微積分の問題を解くだけなら必要ありません。定義をすべて覚えればいいからです。しかし、その定義に納得する・理解するのには位相空間論がないとどうにもなりません。おまけに、位相空間論をただの道具のように扱うことが常態化しているためか、講義でもほぼ覚えるものと言う風習が根付いてしまっています。そこも、おそらく位相に学生が苦手意識を持つ原因だと言えるでしょう。なので、位相の始まりは事前知識のある距離空間を一度忘れ去り「近さを集合の言葉で説明する。」という視点から書き始めたわけです。
数学ブログならいくらでもあるのに書く意味ある?
見出しのように思った方もいるでしょう。実はここに3つ目のブログを書く理由があります。世の中にはたくさんの数学系ブログがあり、定義をまとめたり問題の解法を提供してくれるものがあります。私もお世話になりますし。でも、同時に不満がありました。どうして、そんな定義になったのか?どうしてその定理が重要なのか?を書いてくれていない場合が多いのです。特に定義については基本事項のはずなのにノータッチが多いです。
集合論や微積分・線形代数ぐらいは結構動機づけが書かれていたりするので、計算が多い大学1,2年ごろは気になりませんでした。しかし、だんだん高等化するにつれ書いている人は少ない・事実を書いているだけで和書と同じ・そもそも定義が間違ってると言ったモノが多くなります。また、「重要」だと書かれてもそこへの言及がないので、私はよく動機付け不足に陥っていました。
高等数学は見る人が少ないので検証されずらく仕方ないとは思いますが、それでもギャップを埋めたりするために調べているのに本と一緒じゃ意味ないじゃないですか。だから、「自分の納得するための復習を兼ねた必要な人のためのソースを作る。」3つ目の理由付けとなったのです。
差別化と言う点では、私のブログは一つのトピックごとに焦点が当たるために進行が遅く、問題が解くことがメインではありません。対して、他の方は、問題の解法を主にしています。
うまく使い分けてください。
おわりに
「そうだ、ブログ書こう。」となった理由と集合論を優先した理由をついでに書いてみました。偉そうに言ってますが筆者ケンけんも所詮は修士の若輩者。これからも、ずっこけるし挫折するでしょう。このブログだって、収益化できてないので完全ボランティア状態で時間の無駄と言われるかもしれません。でも、ブログを書くことは一種のライフワークであり自分にとっての「自己実現」になり始めています。これは私がやり遂げたい「数学に対する扱いの改善」への第一歩なのだと。それをゆがめることなくこれからも記事を書き続けたいです。
次書くとしたら、「学士時代の挫折」とか「学習帳を書く理由」かな。
以上、ケンけんでした。 ではでは~。