TOPO-L-1:集合に別に位相空間に従う位相を 全単射の応用

こんにちは!ケンけんです。今回は、普通の集合と位相空間の間に全単射があると位相空間に依存する位相を普通の集合に作ることができることを考えていきます。

キーワード:全単射の応用

必要知識:位相の定義全単射

動機づけ 全単射の応用

今回の問題は、一方が位相群(積の演算と逆元を取る操作が連続写像)の場合に同相な写像があれば、もう一方の考えたい群に位相群となるような位相を構成できるのか?と言う問題が出発点でした。今回は位相群ではなくただの位相空間について位相を依存するように構成できるかが本題です。

実際に次のように位相を作ることができ、さらに同相であることも説明できます。

課題1

$U$を普遍集合とし, その部分集合$X,Y$を取る.

$(X, \mathcal{O}(X))$として位相空間とし, 全単射$f:X \rightarrow Y$が存在すると仮定する.

  1. $\mathcal{O}(Y)=\{U \subset Y|f^{-1}(U) \in \mathcal{O}(X)\}$は位相の定義を満たす.
  2. 1.の位相によって$X$と$Y$は$f$によって同相である.
証明 課題1

1. 

$f$は全単射より$f(X)=Y$である.

また空集合の像は空集合より, $f(\emptyset)=\emptyset$である.

従って, $\emptyset, Y \in \mathcal{O}(Y)$である.

和集合について

任意個の$\mathcal{O}(Y)$の元$U_{\lambda} \in (\lambda \in \Lambda)$を取る.

逆像は和集合について$f^{-1}(\cup _{\lambda \in \Lambda}(U_{\lambda}))=\cup_{\lambda \in \Lambda}f^{-1}(U_{\lambda})$である.

各$\lambda$で$f^{-1}(U_{\lambda}) \in \mathcal{O}(X)$よりその任意個の和集合は$\mathcal{O}(X)$の元である.

従って, $f^{-1}(\cup _{\lambda \in \Lambda}(U_{\lambda})) \in \mathcal{O}(X)$から$\cup _{\lambda \in \Lambda}(U_{\lambda}) \in \mathcal{O}(Y)$である.

共通部分について

$U, V \in \mathcal{O}(Y)$を取ると, $f^{-1}(U \cap V)=f^{-1}(U) \cap f^{-1}(V)$である.

$f^{-1}(U) , f^{-1}(V) \in \mathcal{O}(X)$から$f^{-1}(U \cap V)=f^{-1}(U) \cap f^{-1}(V) \in \mathcal{O}(X)$である.

従って, $U \cap V \in \mathcal{O}(Y)$である.

以上より, $\mathcal{O}(Y)$は位相の定義を満たすため, $(Y, \mathcal{O}(Y))$は位相空間である.

2.

$\mathcal{O}(Y)$の構成から$f$は連続写像である.

従って, 逆写像$g:Y \rightarrow X$が連続写像であることを調べれば十分である.

任意の$U \in \mathcal{O}(X)$を取り$g^{-1}(U)$を考える.

$f^{-1}(g^{-1}(U))=U \in \mathcal{O}(X)$より$g^{-1}(U) \in \mathcal{O}(Y)$である.

以上より, $g$も連続写像である.

$\square$

実はとても強い位相

今回構成した$Y$の位相は、写像$f:X \rightarrow Y$を連続にするものとしてとても「強い」と表現されたりします。

定義 位相の強弱

$U$:普遍集合 $X \subset U$:集合

$\mathcal{O}(X),\mathcal{O’}(X)$:$X$の位相

$\mathcal{O’}(X)$は$\mathcal{O}(X)$より強い$\overset{def}{\iff} \mathcal{O}(X) \subset \mathcal{O’}(X)$

この定義を見ると確かに$f$を連続にする位相としては課題の$\mathcal{O}(Y)$は最も強いとわかります。この場合は全単射である必要はないので写像にまで落としてしまいます。

課題2

$U$を普遍集合とし, その部分集合$X,Y$を取る.

$(X, \mathcal{O}(X))$を位相空間とし, 写像$f:X \rightarrow Y$が存在すると仮定する.

$\mathcal{O}(Y)=\{U \subset Y|f^{-1}(U) \in \mathcal{O}(X)\}$は$f$を連続写像にする最強の位相である.

証明 課題2

適当な$Y$の位相$\mathcal{O’}(Y)$を取り, $f$が連続となることを仮定する.

このとき, $U \in \mathcal{O’}(Y)$を取ると$f^{-1}(U) \in \mathcal{O}(X)$である.

これは, $\mathcal{O}(Y)$の条件を満たすため$U \in \mathcal{O}(Y)$である.

従って, $\mathcal{O’}(Y) \subset \mathcal{O}(Y)$である.

以上から, $\mathcal{O}(Y)$は$f$を連続にする位相として最強である.

$\square$

位相の強弱が出たのでついでですが、全射について最弱の位相はとても簡単に見つかります。それは密着位相です。

命題3

$U$を普遍集合とし, その部分集合$X,Y$を取る.

$(X, \mathcal{O}(X))$として位相空間とし, 全射な写像$f:X \rightarrow Y$が存在すると仮定する.

密着位相$\mathcal{O}(Y)=\{ \emptyset , Y\}$は$f$を連続にする最弱の位相である.

課題1の時に見たように$f^{-1}(\emptyset)=\emptyset, f^{-1}(Y)=X$(全射性より$f(X)=Y$)から$\mathcal{O}(Y)$の元です。従って、$f$が連続であることがわかりました。

おわりに

なんとなく同相になるように取ってきた位相が、あまり使わない「位相の強弱」によって特徴づけられたのはいい経験でした。(普段はあまり強弱を考えない。)

以上、ケンけんでした。

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