[mathjax]
こんにちは!ケンけんです。これは関数が一様連続か調べる、ただそれだけの記事です。私は解析学は苦手なので問題を解くたびに、どんな例があったかを考えるのに時間がかかっています。なので、いっそのこと調べ上げてしまえばいいじゃんというわけです。
それでは行ってみよう!
一様連続
使用する定義は以下のものです。
$f(x)$;区間$I$上で定義された実数値関数
$f$は$I$上一様連続 $$\overset{def}{\iff} \forall \epsilon >0, \exists \delta(\epsilon)>0, \forall x, \forall y \in I (|x-y|<\delta(\epsilon) \Rightarrow |f(x)-f(y)|<\epsilon)$$
また、一様不連続の場合は次の同値命題を用います。
$f(x)$;区間$I$上で定義された実数値関数
「$f(x)$は$I$上一様連続ではない」は次の命題と同値である。$$\exists \epsilon >0, \exists \{x_{n}\}, \exists \{y_{n}\} \subseteq I (|x-y|<\frac{1}{n} \Rightarrow |f(x_{n})-f(y_{n})| \geqq \epsilon)$$
$\epsilon – N$や$\epsilon – \delta$論法の難しさは、
- 成り立つ場合 任意の$\epsilon$について特定の$N$と$\delta$を見つけること
- 成り立たない場合
- 全ての$N$や$\delta$で不等号が逆になる特定の$\epsilon$を見つけること
- うまい$\{x_{n}\}$と$\{y_{n}\}$を見つけること
実際にやってみた
まずは、一様連続なケースを調べてみましょう。
開区間$I=(a,b)$上で$f(x)=x^n$($n$;整数)について考える。
- $n=1$の時$f(x)$は$I$上一様連続である。
- $n=2$の時$f(x)$は$I$上一様連続である。
- $n=3$の時$f(x)$は$I$上一様連続である。
- $n \geqq 1$の時$f(x)$は$I$上一様連続である。
- $n=-1$の時$f(x)$は$I’=[1,\infty)$上一様連続である。
解)$\epsilon$を任意の正の実数と仮定する。
1.$\delta (\epsilon)=\epsilon $と置く。
$|x-y|<\delta (\epsilon)$について$|f(x)-f(y)|=|x-y|< \delta (\epsilon)=\epsilon =\epsilon$
従って、$n=1$の時$f(x)$は$I$上一様連続である。
2.$m=max\{|a|,|b|\}$として、$\delta (\epsilon)=\frac{\epsilon}{2m}$と置く。
$|x-y|<\delta (\epsilon)$について$$|f(x)-f(y)|=|x^2-y^2|=|x+y||x-y|<(|x|+|y|)\delta (\epsilon)=(2m)(\frac{\epsilon}{2m})=\epsilon $$
従って、$n=2$の時$f(x)$は$I$上一様連続である。
3.$m=max\{|a|,|b|\}$として、$\delta (\epsilon)=\frac{\epsilon}{3m^2}$と置く。
この時$$|x^2+xy+y^2| \leqq |x^2|+|y^2|+|x||y| < 3m^2$$
$|x-y|<\delta (\epsilon)$について$$|f(x)-f(y)|=|x^3-y^3|\leqq |x-y||x^2+xy+y^2| <3m^2 \delta (\epsilon) =\epsilon$$
従って、$n=3$の時$f(x)$は$I$上一様連続である。
4.$m=max\{|a|,|b|\}$として、$\delta (\epsilon)=\frac{\epsilon}{nm^{n-1}}$と置く。
$|x-y|<\delta (\epsilon)$について$|f(x)-f(y)|<nm^{n-1}\delta (\epsilon)$を示せば、$|f(x)-f(y)|<\epsilon$が示され十分である。
$|f(x)-f(y)|<nm^{n-1}\delta (\epsilon)$を数学的帰納法で示す。
$k=1$の時は既に示したので、$k>1$の時、主張を仮定する。
$$\begin{align}|x^{k+1}-y^{n+1}|&=&|x(x^k-y^k)+y^k(x-y)| \\ &<& |x|(km^{k-1})\delta (\epsilon)+|y|^k \delta (\epsilon) \\ &<& km^k\delta (\epsilon) +m^k\delta (\epsilon) \\ &<& (k+1)m^k\delta (\epsilon) \end{align}$$
以上から$k+1$の時も成立するため、すべての$n>1$で$|f(x)-f(y)|<nm^{n-1}\delta (\epsilon)$が成り立つ。
以上から、$$|f(x)-f(y)|<nm^{n-1}\delta (\epsilon) =nm^{n-1}(\frac{\epsilon}{nm^{n-1}})=\epsilon$$となり$n>0$の時$f(x)$は一様連続である。
5.$\delta(\epsilon)=\epsilon$と置き$x,y \in I’$を$|x-y|<\delta(\epsilon)$を満たすようにとる。
$|xy| \leqq 1$より
$$|f(x)-f(y)|=|\frac{y-x}{xy}| \leqq \frac{|x-y|}{|xy|} \leqq |x-y| < \epsilon$$
従って、$n=-1$の時$f(x)$は$I’=[1,\infty)$上一様連続である。
$\square$
正のべきは考える区間が有界の場合、最大値を利用して一様連続であることを示すことができます。また、直交双曲線$f(x)=\frac{1}{x}$も$[1,\infty)$上なら一様連続でした。
次は、一様連続でない場合です。
$\mathbb{R}$上で$f(x)=x^n$を考える。
- $n=2$の時$f(x)$は$\mathbb{R}$上一様連続ではない。
- $n=-1$の時$f(x)$は$I=(0,1]$上一様連続ではない。
解)
1.$\epsilon =1$、$x_{n}=n+\frac{1}{n}$、$y_{n}=n$と置くと、$\{x_{n}\},\{y_{n}\} \subset \mathbb{R}$である。
$|x_{n}-y_{n}| <\frac{1}{n}$かつ$|f(x_{n})-f(y_{n})|=|(n+1/n)^2-n^2|=\frac{1}{n^2}>\epsilon$
従って、$n=2$の時$f(x)$は$\mathbb{R}$上一様連続ではない。
2.「$n=-1$の時$f(x)$は$I=(0,1]$上一様連続である。」と仮定する。
この時、任意の$\epsilon>0$についてある$\delta(\epsilon)>0$が存在して、$x,y \in I$について$$|x-y|<\delta(\epsilon) \Rightarrow |f(x)-f(y)|<\epsilon$$が成り立つ。今、$\epsilon=1/2$として$a=max\{1,\sqrt{\delta(\frac{1}{2})}\},\epsilon=1,x=\frac{1}{a},y=\frac{1}{a+1}$と置く。
この時、$|x-y|=\frac{1}{a(a-1)}<\frac{1}{a^2} \leqq \delta(\frac{1}{2})$である。
しかし、$$|f(x)-f(y)|=|a-(a+1)|=1>\epsilon$$で$$|x-y|<\delta(\frac{1}{2}) \Rightarrow |f(x)-f(y)|<\frac{1}{2}$$に反する。
以上より、$n=-1$の時$f(x)$は$I=(0,1]$上一様連続ではない。
$\square$
べき関数は、正だと局所的(有界開区間)には一様連続なのに、全体や半開区間ではそうならなくなる点がよくわかりますね。有界の場合は、変数の絶対値を区間の端の絶対値で抑えることができますが、半開区間になるとその最大値が取れなくなるので絶対値が抑えられない状況(反例)が出てしまうわけです。また、$\frac{1}{x}$も$x \in (0,1]$では$0$に近づくほど爆発的に増大する($\lim_{x \to 0}\frac{1}{x}=\infty$)ので、$x^2$で$x$が十分大きい場合の絶対値が抑えられないことと同じ問題が起こります。
おわりに
この記事は先に調べたものがあって後から記事にしたものですが、実際に条件を変えて試してみると、よくわからなかった概念や問題の焦点がわかりますね。一様連続ではない場合の示し方は様々なので呼んだ方も自分で反例を見つけてみてください。最後に、\delta、\epsilon、\frac{}{}沢山打って疲れました。
以上、ケンけんでした。