こんにちは!ケンけんです。前回は、2つの命題からなる含意「$\Rightarrow$」を定義しました。
今回は、命題の間の「結合」について取り扱います。
キーワード;論理積(かつ)・論理和(または)
導入
学校の活動では、他者と協力して行うものがあり体育では多い印象です。
次の例を見てみましょう。
二人三脚はどちらかがこけると二人そろってこけます。なので、命題$R$で「こけずに走り切れた」ことがわかっているとき、$A$さんも$B$さんもこけなかったことを意味します。この時、「」内の文章は真で命題です。逆にどちらかがこけてしまった場合、一緒にこけるので命題$R$が偽となってしまいます。
「また」は、2つの命題が同時に成り立つので「かつ」でもいいでしょう。そして、$P$と$Q$により$$PかつQ$$と書けます。この「かつ」を記号化すれば、文章全体を記号で書けます。
「二人三脚」以外に、「大縄跳び」、「集団行動(競技)」も一人のミスで失敗や、全体の行動が乱れるといったことが言えるので「かつ」を使って表現できるでしょう。(作ってみて下さい。)
次に、逆の例を考えてみましょう。
自転車は前輪と後輪に別々のブレーキがあり、一方が故障していても、もう一方が故障していない場合は停止はできます。「停止できる」命題$R$が真なので、どちらかのブレーキは故障していないことがわかります。もちろん、どちらのブレーキが故障していないときも停止できます。逆に、どちらも故障しているときは、自転車は止まれないので$R$が偽になってしまいます。
そして、$P$と$Q$を使うと$$PまたはQ$$と記号で書けて、「または」を記号化すれば文章を記号で表現できます。
定義
では、「かつ」と「または」を記号化しましょう。
命題の否定から、「$P \wedge Q$」、「$P \vee Q$」で一つの命題です。そして、$P$・$Q$とその真偽がわかれば、「$P \wedge Q$」、「$P \vee Q$」の意味と真偽が自然にわかります。
論理積・論理和は、二つの命題から一つの命題を新しく作るため「$\Rightarrow$」と同じ結合です。
この記号を用いると先の例は、真な命題$R$も用いると、
- 「」内は「$P \wedge Q$」で、全体は「$R \Rightarrow (P \wedge Q)$」(4-1)
- 「」内は「$P \vee Q$」で、全体は「$R \Rightarrow (P \vee Q)$」(4-2)
と書けて記号化できました。
論理積と論理和は裏表?
例4-1と4-2の中で偽になる状況も考えていました。偽の否定は真になるので、$\neg (P \wedge Q)$が真となります。そして、二人三脚の例では「$A$さんたちはこけた」場合、少なくとも$A$さんか$B$さんのどちらかがこけたことになります。もちろんどちらもこけた場合のあり得ます。この表現、論理和の方でありました。
$$「自転車が止まれた」場合、前輪か後輪のいずれかのブレーキは故障していなかった。$$
$$もちろんどちらも故障していない場合も停止できる。$$
論理積の否定は論理和になるようです。ではこの場合、どのような表現ができるでしょう。
この場合、
- $A$さんか$B$さんのどちらかはこけた $\Rightarrow $ $\neg P$か$\neg Q$のどちらかは真
- $A$さんと$B$さんどちらもこけた $\Rightarrow $ $\neg P$と$\neg Q$が真
つまり、「$(\neg P) \vee (\neg Q)$」が真となります。そして、この命題は、$\neg (P \wedge Q)$から得られたものです。
もちろん、論理和の否定が論理積で表すこともできて、$\neg (P \vee Q)$から$(\neg P) \wedge (\neg Q)$が得られます。(自分で確認してみてください)
以上から、論理積と論理和は次のことがわかります。
- 否定を通して関係を持つ
- その真偽も一致する
おわりに
実は、「二人三脚」と「自転車ブレーキ」の例はこの記事書いているときに思いつきました。また、前回「ならば」を扱った上で例に使うことで、直接例で「かつ」、「または」を説明するよりも、話を納得できるようにしました。特に「または」の「自転車」は真偽を書きやすいと思います。
勘がいい人は気付いたでしょうが、論理積と論理和の否定による結びつけは、ド・モルガンの法則の命題論理版です。これを現在の言葉だけではそれを説明できません。しかし、説明するための道具と考えは実は、もうそろっています。
次回はここまでの記号を用いて、命題が同じ(同値)であることを定義します。
以上、ケンけんでした。