NST-2:命題に「not」を 命題の否定

こんにちは!ケンけんです。前回は、日常から二値論理の妥当性から命題を導入しました。

今回は、命題を否定する方法を取り扱います。

キーワード;命題の否定

導入

国語や英語で簡単な文章を学んだ次に何を学びましたか?おそらく否定文だと思います。「A be B.」の否定文はnotをつけて「A be not B.」とするでしょう。

例 NST-2-1

命題「$12は偶数である$」は真である。

その否定は「$12は偶数ではない$」となり、偽である。

二値論理を採用しているため、真の否定は偽、偽の否定は真となります。否定の中にも二値論理の使いやすさがわかるでしょう。

英語では「be動詞の後ろ」、「一般動詞では主語との間にdo notで動詞を原型に」といったようにルールがあります。文章である命題も同様に、命題$P$を否定したいときには記号を作ります。

では、否定の否定はどうなるでしょうか。「~ではないことはない。」などで二重否定とされますが、主張の正当性と強めるために使うこともあるのだとか。

例 NST-2-2

命題「車を運転できる」を真とする。

その否定は「車を運転できない」で偽となる。

さらにその否定は、「車を運転できないわけではない。」で真になる。

免許を持っているためか、「運転できる」ことを真としましょう。二値論理から否定の度に真偽が入れ替わるため、二回否定した文章は真な命題になります。言語でも二重否定すると、自信がないときの遠回しの肯定であると言えます。

ここから二重否定は、文章を一気に2回否定するのではなく、否定した文章を否定する構造を持っています。なので否定の記号を決めて、それを並べれば表現できそうですね。

定義 命題の否定

それでは記号を決めていきましょう。

定義 NST-2-3

$P$;命題

$\neg P$;$P$の否定($negation$)

$$\neg Pは「命題Pの否定」を表す命題$$

$\neg$だけで後ろの命題を否定することを指します。$\neg P$は$P$から作られる新しい命題です。$\neg P$と書くだけで、命題$P$とその真偽から「否定文であること」、「真偽は$P$の逆になること」がわかります。命題論理を用いる利点は、言語で文章を書く必要を最小限に抑えることにあり、実は日本語や英語の文章よりも簡略化されているのです。

再考

これを使うと先ほどの例は記号で次のように簡略化できます。

例 NST-2-1 再掲

命題「$12は偶数である$」を$P$とする。$P$は真である。

$\neg P$は「$12は偶数ではない$」で偽を意味する。

このように、文章を書かずとも$\neg$を書くだけで、否定した内容とその真偽を元の命題から読み取れるのである。無駄に文章を書かずとも情報がわかるのは楽ですね。

では、2重否定はどう書くでしょうか?

例 NST-2-2 再掲

命題$P$を「車を運転できる」として真とする。

その否定$\neg P$は「車を運転できない」で偽となる。

さらにその否定は$\neg (\neg P)$で「車を運転できないわけではない。」で真を意味する。

先の考察から、二重否定は一回ずつ否定していくことで説明できました。

従って、$P$の否定$\neg P$を否定して$\neg ( \neg P)$とすれば、新しい一つの命題になります。文章では言いにくい二重否定が、命題の記号では$\neg$を2個つけるだけで表現できるのです。そして、二重否定の構造が、$\neg P$を否定した命題であることも見るだけでわかります。

おわりに

どうでしたか。命題は文章の略記化であることがなんとなく感じられると思います。命題はこの先文章の略記のための記号を作っていく流れになります。集合はまだまだ先ですが、ここを乗り越えると本の証明や行間を認識できるようになるので文章を命題と記号で書き確認してみて下さい。

次回は、命題のくせ者「ならば($\Rightarrow$)」と、複雑化する真偽を表でまとめます。

以上、ケンけんでした。

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